天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 え、待って。もしかして今のやりとりを全部見られていた……?

 そのことに気づいて絶句する。
 全身の血がじわじわと頭にのぼり、頬が発火しそうなほど熱くなる。

「翔さん、下ろしてくださいっ! みんなに見られてますから!」

 慌てながらそう言うと、翔さんは腕の中でじたばたする私を見上げ楽し気に笑った。

「今更だろ。さっきの航空無線を、どれだけの人が聞いてたと思ってるんだ」

 翔さんの言葉に血の気が引く。

 航空無線は周囲を飛ぶ航空機のパイロットたちはもちろん、無線マニアたちも聞いている。

 機体トラブルと悪天候が重なったこの非常事態時の管制交信は、多くの関係者たちも固唾をのんで聞いていたに違いない。

 もちろんしっかり記録として残され、今回のトラブルの原因を探るためにさまざまな角度から検証されることになる。

「真っ赤だった顔がみるみる青ざめていくな」

 翔さんに笑われて、私は頬を膨らませる。

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