天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「私はこんなに高価な指輪はいらないって何度も言ったんだけど、聞いてくれなくて……。やっぱり買ってもらってばかりだと悪いから、こっちの指輪は私がお金を出したほうがいいかな」

 真剣に悩みながら言うと、横で聞いていた北原くんが「気にせずもらっとけ」と笑う。

「矢崎機長はお前を甘やかすのが楽しいんだろ」
「でも」
「あの人、パイロットの中でもずば抜けて高い報酬をもらってるらしいぞ。公務員の俺たちが金の心配をしても、鼻で笑われるだけだって」

 北原くんの言葉に、富永さんが深くうなずく。

「今、あちこちに格安航空会社ができて、パイロットの取り合いがおこってるって言いますもんね。お給料、高いんだろうなぁ」
「しかも有能な機長は操縦の腕だけじゃなく天候や風向きを読むのがうまい。航路や高度をどう選ぶかで、消費する燃料がドラム缶何缶分も変わるっていうから、燃料費が高騰している今は余計に手放したくないだろうな」
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