天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~


 空港のターミナルビルの隣に立つ、地上約百メートルの塔の上。
 三百六十度ガラス張りで、巨大な空港の敷地すべてを見渡せるその場所が私の職場だ。

 イヤホンとマイクが一体となったヘッドセットを装着し、窓の向こうを確認する。
 滑走路の手前で待機しているアメリカの航空機に指示を与える。

『UAS158便。こちら管制タワー。北西の風3ノット。滑走路34Lからの離陸を許可します』

 無線マイクのスイッチを押し英語で伝えると、短いノイズのあとでパイロットから応答があった。

『こちらUAS158便。滑走路34Lから離陸します』

 パイロットは私の指示を復唱し、UAS158便が滑走路の上を走りだす。

大きな機体を支えるタイヤがふわっと浮かんだ。
 白い翼を持つ飛行機が空に飛び立ち、あっという間に小さくなる。
 
 この管制塔は航空機に離着陸の指示を出すのが仕事だ。

 離陸したあとは、ここではなくレーダー管制室のディパーチャーという部門に引き継がれる。

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