スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
 私が肩をすくめて言うと、長谷川くんは大きくため息をついた。
 どうしてそんな反応をされるのか分からない私は疑問に頭を傾ける。

「それなら俺が送り迎えします。あと、旦那さんに変な疑いをかけられたくないので一応連絡はしておいてください。きちんとさっきの男のことも伝えておくように」

 どちらが年上か分からない状況に私は困惑したが、真剣な面持ちの長谷川くんにとりあえず頷いておいた。どちらが年上なのか分からなくなる。

 心配性なのはお兄ちゃん気質だからだろうか。

 それにしても長谷川くんは以前に比べて口数が多くなった。以前はもっと無口なイメージが強かったのだが、今はむしろ世話焼きなイメージだ。

「沙彩ちゃんへの手土産何がいいと思う?」

「別にそんなのいらないっすよ。センパイが来てくれるだけで沙彩めっちゃ喜ぶと思います」

 以前の反応を見るとあながち嘘でもなさそうで、私は苦笑いを浮かべた。
 どういうわけか私に対するキラキラした目を思い出し、あんな風に他人に見られたのは初めてだったなと少しだけくすぐったく思った。

「それだけじゃやっぱりアレだし……あ、甘いものとか好きかな? 食べ物で禁止されてるものとかってある?」

「いや、今のところ特にないですけど…………マジで気を遣わなくてもいいですから」

 焦る長谷川くんを置いて、出入り口付近にいた私はショッピングモールの中央へと引き返す。

 頑張っている沙彩ちゃんに何を買っていこうかなと考え、私は口元を綻ばせた。

 結局長期にわたって保存のきくクッキーの詰め合わせと、誕生日プレゼントとして女の子用のお化粧セットというものがあったのでそちらを購入。
 どちらも綺麗な包装紙でラッピングをしてもらい、私は意気揚々と持ち上げようとするが──。

「ちょっと……買いすぎたかも」
 
 これは流石に帰り道はタクシー必須だなと考えていると。

 沙彩ちゃんの誕生日プレゼントである着せ替え人形のセットをすでにラッピングしてもらっていた長谷川くんは、呆れたように私を見た。

「センパイってたまに抜けてますよね。……俺、車で来てるんで乗せてきますよ」

「……お願いしてもいい?」

「はい。明日も病院まで送るんで家の場所知るにはちょうどいいっすしね」

 私は先程助けられたときと同様に、もう一度深く頭を下げた。
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