こんなにも愛しているのに〜私はましろ

父を嫌悪する

お父さんは自分勝手。

忙しいと言いながら
家族3人で必ずお参りしていた
廉のお墓にも一緒に行かなくなった。

その時どんなにお母さんが悲しんでいたか。

「お父さん、一緒に行かないの?」

「お仕事がね。
お父さんが抜けると大変なんだって。
今日中には行くと言っていたけど。」

そう言いながらも母は、暗く沈み込んでいた。
廉が生まれてこなかった時
母がどれだけ壊れてしまったか、知っているだろうに。
そこから立ち直って
今になるまで、母がどんなに大変だったか知っているだろうに。
父はそんな母を少しでも助けて支えてくれていた?

私は大きくなるに連れて
父の忙しいがオールマイティとは思わなくなっていた。

父が仕事に忙殺されていると信じていた母は
束の間
帰宅する父のためにどれだけ心を砕いていたか
廉の命日が近づくと、
目に見えて暗く落ち込む母。
そのような中でも
母は父に尽くしていたと思う。

なのに
自分は若い子と不倫していた。

私が好きだった父は
この時から
ただの
汚い男に成り下がった。
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