こんなにも愛しているのに〜私はましろ

西崎くんと手塚くん 4

高校2年春。
志望校別にクラス分けがあり
私と西崎くんはまたもや国立理系クラスで同じになり
手塚くんは同じ国立理系クラスの別クラスとなった。

別クラスといっても、相変わらず西崎くんのところに
来ているので、同じクラスではないかと勘違いしそうだ。

手塚くん。

出勤だ。
別のクラスになった時、先生に同じクラスにしてくれと
直談判をしたらしい。(もちろん即却下)
どれだけ、西崎くんのことが好きなのか。

この頃の西崎くんは、昏い。
あの時のように表情筋をなくしている。
手塚くんが来て、話をしていても、聞いていないようだった。
それでも懲りずに話す手塚くんは、彼を元気付けているのではなかろうかと
思う。

時々
可愛い女の子たちが西崎くんを呼び出したり、靴箱のところで
彼を待ち伏せしたりしてる光景などを見かけた。

そんな時も
西崎くんの態度は変わらず、手塚くんが一緒だったら、マネージャーの
ごとく間を取り持ったりしていた。

私は、父の醜い姿を彼に見られていたと知ってから、彼とはなるべく
関わらないようにしていた。
彼を見ると、自分が不倫をしたかのように、後ろめたい気持ちになるから。
不倫した親を持つ子。

きっと
彼のことだから、他の人には言っていないと思う。
手塚くんの様子からしても、彼にも話していないと思う。
だからと言って安心しているわけでもない。

西崎くんとは、クラスの中で何かが絡む時だけ
最小限で話をするくらい。
手塚くんはデリカシーがないから、
学年で1番のくせに、私にノートを貸せだの
放課後美味しいケーキを食べに行こうだの、
神経に触ることしか言わない。

彼にとって、1年生のあの時の出来事は喉元過ぎれば
というところだろうか。
それに反して、西崎くんはいつも厳しい顔をしていた。

単なるクラスメートしても、少し気になる彼の様子だった。




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