こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「逃げてんじゃないよ。
優しく私たちに付き合ってくれれば、この画像はなかったことにしてあげるって
言っているのに。
そんなに逃げるんだったら、、、どうしよっかな。。。」

4人組のリーダー格が、醜く笑う。

「もうやめてくれ。
これ以上、付き纏ったら俺たちも覚悟を決める。」

「陸都、、、」

俺の覚悟を伝えたら、横で達が力なく俺の名前を呼ぶ。

達の家は、手広く薬局を営む古くからの家柄だ。
父親が亡くなり、ワンマンの爺様のもと、母親、妹、達たちと暮らしている。
この爺様が厳しい人で、達は爺様の鉄拳で躾けられた。

母親と妹は庇護されていると言うより、達の育ち方次第で、去就が決まる。
駆け落ち同然で、家を捨てて結婚し、その後夫が亡くなり、
生活もできなくなった娘一家を引き取った代わりに、父親そっくりな達を
何かにつけて、痛ぶっているとしか思えないような爺様だった。

そんな家庭環境の中、達も魔がさしたのかもしれない。

4人組は、俺の覚悟がわかったのか、違う条件を出してきた。

「 じゃぁ、100万。これでどう?100万持ってきたら、画像は
全部目の前で消すし、もう、あんたたちにも付き纏わない。」

「100万っ!!そんな大金、あるわけないじゃないかっ!!」

「達の家もにっしーの家も、金持ちじゃん、、、ちょっとくすねてきたら〜。」

「100万なんて、、、、」

「びた一文まけない!一週間後、またこの時間にここで。じゃ〜ね。」

あいつらは、俺たちに100万などという大金を用意できないと知って
ふっかけてきた。。。

「達、、、親にボロボロにされるかもしれないけど、正直に言おう。
これ以上あんな奴らに付き纏われたくない。。。」

「だめだ、、、爺様に知られたら、俺たちあの家を出されて、母さんは
生活能力ないし、妹も学園を辞めなくちゃいけなくなる。。。
俺は生きている保証がない。。。
俺、20万円だったら持ってる。陸都、お金を貸してくれないか?」

「30万くらいしかない。お年玉や、お祝い金を貯めてそれくらい、、、
50万、、、親には言えない。。。。」

「爺様には絶対に、、、絶対に、、、」

爺様に知られたくないなら、どうしてこういうことをしたんだよと、達を
大声で詰りたくなったが、達が思いっきり羽目を外したくなる気持ちもわかって
何も言えなかった。
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