こんなにも愛しているのに〜私はましろ
結局のところ
親とは進路のことで口争いが絶えず、自力で一人暮らしを始めていた兄貴を
頼ることにした。
もちろん、ことの詳細は兄貴といえども言えないので、上手く達と二人
辻褄を合わせて、残りの50万を用立ててもらった。

それを
一週間後にあいつらに画像消去と、もう2度と関わらないという誓約書に
サインをさせて、お金を手渡した。

それで
もう終わったと思ったのだ。

本当に子供だった。

志望校に合格し、西澤さんとも再会し、これから嫌なことは精算されて
新しい生活が始まる、、、
と浮かれていたところに起こったあの出来事。

あいつらは諦めていなかった。
当番でクラスの戸締まりをしていて、西澤さんに絡むあの4人組を窓から見つけた。
戸締まりもそこそこに駆けつけると、いやらしい顔で俺に絡みつく。
達を出せと。。。

西澤さんが校舎に戻って、達を連れて来ると言った。
そうだろうなぁ、このままでは終わらないだろう。
とどこか他人事のように、そう思う自分がいた。

「金も渡して、誓約書も書いてもらって、もう終わったはずだろ。」

「もう、これだからお坊ちゃんは、、、、あんたたちみたいなサラブレッドを
逃すはずないじゃん。付き合うか、お金で済ませるか。。。
ほら、画像も、、、」

あの画像がまだあった。
咄嗟に掴み取ろうとしたら、素早く躱された。

「誓約書なんて、あんな効力がないもの破って捨てました〜!」

「お前たちは、、、ヤクザか。。。」

「う〜ん、その道の人ではないけど、その道の人とは交流があるわよ〜。
そのうちその人たちの手に、この画像が渡ったらどうなる〜。
付き合うか、わたしたちのATMになるか。」

そういうと4人声を揃えて笑った。
もう
俺は怒りで煮えたぎってきた。

そこへ西澤さんが達を引きずるように連れてきて、4人の中に放り投げた。
西澤さんも怒っていた。
当たり前だ、以前も今回も謂れのないことで、巻き込まれたのだから。
とにかく、まずは西澤さんを安全な場所に連れて行きたかった。が
達が囲まれて、今度は達が大変なことになっていた。

その間、西澤さんはここから抜け出したようだ。

周りから見たら、
ただ
俺たちが戯れあっているようにしか見えなかっただろう。
みんな
苦笑しながら通り過ぎっていくだけだった。

ただ、あの画像の携帯を振りかざすたびに、誰かの目に入らないか
それだけが心配だった。

どうしよう。
どうするのが一番か。
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