冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
息がかからないように我慢していたけれど、次第に余裕がなくなって、ひたすらキスに溺れていく。
柔らかい舌が私の唇を割って、上顎を舌先でなぞられた。ぞわぞわとした刺激が体に走って、思考が溶ける。
椿さんの骨張った長い指が、私の鎖骨から胸へと下がり、バスローブをはだけさせる。視線を感じて、小さく尋ねた。
「あの。変じゃない、かな」
「変?」
「し、下着も美香さんと買ったの」
彼は、一瞬眉間にシワを寄せた。そしてすぐに顔の横についていた腕を曲げて、覆いかぶさるように自分の顔を隠す。
真横に椿さんの頭があるが、うつむいているため表情は見えなかった。
「……それは聞いてない」
熱情を押し殺すような声がする。
少しだけ頬を染めた彼が体を起こして、目の前に端正な顔が見えた。
「可愛いよ」
愛のこもった直球な褒め言葉がささやかれて、全身の体温が上昇する。胸元にキスを落とされて、彼の手が体の曲線を撫でていく。