冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 なるほど。わざわざ公園にまで足を伸ばしたのは、初めてふたりで過ごす休憩が、好奇の視線に晒されないように配慮した結果だったのか。

 口ぶりからして、たまにひとりでも来ているようだ。

 私には縁のない悩みだけど、職場で知らない人がいないほどの人望があるっていうのも考えものなんだな。

 お互いサンドイッチを食べ終わり、まだ三十分ほどの休憩が残っていた。何気ない会話をしていたところ、公園にやってきた三人組の若い男の子達の姿が視界に入る。

 歳は高校生くらいだろうか。皆、背が高く、制服の着崩し方といい、モテそうなオーラがぷんぷんする。

 学校帰りに寄ったのかもしれないけれど、放課後にしては少し早い時間だ。もしかして、ちょっとヤンチャな子達かな。

 すると、歩いていた三人組のひとりが、ふいにこちらを見た。

 何かに気づいた様子で、はっと目を見開く。


「あっ! バイクのお兄さんだ!」


 その声につられて他のふたりも視線を向けた。目を輝かせた彼らは、足早に駆け寄ってくる。

 目当ては椿さんらしく、コーヒーを片手にくつろいでいた彼は、三人組に気づくなり表情が緩まる。


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