佐藤さん家のふたりとわたしと。
「もうすぐ2人とも誕生日だね!なんか欲しいものある?」

気付けば私はもう16歳で、大志と奏志はもうすぐ17歳だ。

高校2年生になった。

2人とはいつも一緒で変わらないけど。

「私はねぇ、今年の誕生日にお父さんとお母さんからバックもらったの!超かわいい!」

肩から掛けていたsamantha & chouetteのパステルピンクのポシェットを2人に両手で持って見せた。お気に入り過ぎて家の中でも掛けてしまうほど今年の誕生日プレゼントはめっちゃくちゃ嬉しかった。

「「もうそれ何度も聞いた」」

「かわいいでしょ!かわいいから何度も聞いてほしい!」

佐藤家のソファーに座って、いつものようにくつろいでいる。ピコピコとテレビゲームをする2人の後ろ姿を見ながらストローを使ってオレンジジュースを飲んだ。

「そういや怜くん今日家いる?バイト?」

珍しく奏志がお兄ちゃんのことを聞いてきた。

「知らない、いないんじゃない?」

そしてその話は今したくない。

「お前…、冷たいな。最近は仲良くやってるんじゃなかったのかよ?」

「別に元々そんな仲良くないし」

ちゅーっとオレンジジュースを一気に飲んだ。

お腹いっぱいになった。

そしてすぅーっと静かに息を吸った。

「…お兄ちゃん、彼女出来たんだって」

コトンっとテーブルに空になったグラスを置く。

「「へぇー」」

予想はしてた2人の興味ない返しに私の気持ちはつい荒ぶってしまう。

「ホワイトデーだってね、いつもはテキトーなものくれるのにおかしいなって思ってたの!今年すごい可愛いチョコレートでさぁ、あれ私のためじゃなくて彼女のついでだったんだよ!?信じられない!最悪!」

「そこでお前が怒ってる理由がわかんねぇよ、相変わらずブラコン出してくんなよ」

「ブラコンじゃないもん!今お兄ちゃんとケンカ中なの!!」

「どこでケンカしてんだ、ぜってぇお前が悪いしな!!」

危うく奏志ともケンカしそうになって、大志になだめられ止められた。
つんっとそっぽ向く私に買い物に行こうと、無理矢理連れ出された。
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