佐藤さん家のふたりとわたしと。
「ねぇ奏志」

「ん?何、織華ねぇー」

「今、正志から電話があってプリン買って来てくれるって言うんだけど大志ってどこ行ったの?大志も食べるわよね?」

「あぁ、怜くんと出掛けてる」

この言葉に誰より食いついたのはあいつだった。

「え!?そうなの!?」

ギュンッと俺の方を見て、眉間にしわを寄せて。そんなしわ寄せるようなことじゃねぇと思うが。

「おー、一緒に服見に行くとかで…朝から出掛けてったけど」

「えー、怜お兄ちゃん私には何にも言ってなかったのにっ!しかもお兄ちゃんの服ダサいのに!」

結華ねぇーちゃんにしてもらっていたネイルはもう終わったのか、手をヒラヒラと乾かしながらソファーに座る俺の隣に座った。

「いちいち妹に言わねぇーだろ、怜くん大人なんだから」

「見て見て、結華お姉ちゃんにやってもらったの!可愛いでしょ!」

かと思えば、今度はその爪を見せて来た。

「うん、可愛い」

「絶対思ってない!」

「言ってほしくて聞いてんだろ!」

「大志ならもうちょっと言ってくれるもん」

「ほーぅ…」

ちょっとだけイラッとした。まぁアイツのが、そーゆうのは得意だけどっ。
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