じゃんけんぽん
応援してるよ〜、頑張って〜、とキャイキャイ騒ぐ部員たち。

でもこの子たちが陰では琉々に対する愚痴を垂れ流していることも周知の事実。知らないのはきっと、余程の鈍ちんか、琉々本人のみ。

当の私はと言うと、もう放心状態。

過度なショックに、そっと近づいてきた友だちの「私はれんを応援してるよ」という励ましにも曖昧に微笑むことしか出来なかった。

少しでも笑ってみせたのは精一杯の強がり。

今まで来海を好きになった子とは、誰とでも『あいこでしょ』の関係だった。

双方とも下手に手は出さずに、そっと好きという気持ちを胸に抱えているだけだった。

それが当たり前なんだと、昔も今も変わらず思う。

ベタな言い訳だけど、一歩踏み出すのは本当に怖い。壊したくないものを崩してしまいそうで。それならアクションを起こさないでおこうとの結論に至ってしまう。

ただ好きでいられるだけでいい。大好きな人とかけがえのないひと時を、ほんのちょっと共有できたらそれで幸せ。

そう、心の底から思っている。

………それなのに。

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