じゃんけんぽん
どうしてこんなに胸がキュッとなって、熱いものが込み上げるの?

どうして悲しくなんてないのに、目の前がぼやけているの?

私は少し離れた所から彼を想い続けることを選んだ。そうあるべきだと信じた。

でも、違ったんだ。

あぁ。

…なんで今更、気づいたのかなぁ?いつになっても、私のマヌケは治らないみたい。

私は、心のどこかではずっと、来海の隣が似合うたった1人の女の子になりたいと願っていたんだ。

想い続けるだけで幸せだなんて下手くそもいいところの嘘を吐いて、自分自身を騙していただけだったんだ。

傷つくのが怖いから、見返りを求めている恋心を無意識に見て見ぬふりをしてきていた。

…こんな土壇場に本音を自覚させるなんて、神様も皮肉が上手いもんだ。

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