乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第37話 外へ行けたら
部屋は広く本棚には退屈を紛らわせるためか、難しそうな本が並んでいて、アクセサリーを作っていたのか、材料が机の上に散らばり、デザイン画が何枚か机に貼り出されてあった。

「月子お姉様。どうやってここに?」

「心配しなくても大丈夫です。正面からちゃんとお邪魔してきました」

「そうですか、よかった。月子お姉様とお会いするのすごく久しぶりな気がします」

「私もです」

詩理(ことり)さんのそばに行き、手をとると、お手伝いさんが『ごほん』とわざとらしく咳払いをした。
慌てて、手を離し、勧められた椅子に座った。
監視の人がいる中で会話なんて、なんて厳しい。

「え、えっと」

気のきいた話題でも話せたらと思っていたけど、特にない。
コミュニケーション能力の低い自分が恨めしい。
せっかく来たのだから、なにか楽しい話題をしてあげれたらよかったのに。
唯一、思い付くことといえば。

「え、えーと。そういえば、今日、コーヒーショップに行ってきたんですよ。初めて自分で注文して買えたんです」

「まあ!いいですね。一度だけ遠堂(えんどう)に連れて行ってもらいました。とても楽しかった」
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