乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
天清(たかきよ)さんのはだけたパジャマからは肌が見え、がっしりとした胸筋が見えた。

「ぎゃあああああ!!」

ガバッと起き上がり、脱兎(だっと)のごとく押し入れに逃げた。

「な、な、何、境界線から入ってきてるんですか!約束が違います」

「俺は入ってないよ。ちゃんと見て」

確かに天清さんは絶対防衛ラインを越えてない。
ほらね?と線を指さした。

「……そうみたいです」

この人は誠実だ。
むしろ、私の寝相が悪かった!?
申し訳ない気持ちで、もそもそと押し入れから這い出た。

「約束は守るよ」

うーんっと天清さんは体を伸ばした。

「俺は今日から出勤するけど、月子は?」

「私も仕事に行きますけど……も……天清さんはどこに出勤を……?」

「うん?俺は婿なんだから、楠野(くすの)本社に出勤だよ。新崎(あらさき)にはもう行かない」

「お、同じ会社っ!?」

「え?嫌だった?」

嫌も何も。
私の働く姿を見られる。
そう。
私は働いている。
< 18 / 214 >

この作品をシェア

pagetop