乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第4話 朝
「おはよう」

私の朝は『ときラブ』から始まる。
龍空(りく)様の『おはよう』ボイスが優しく私を起こしてくれるのだ。
この『ときラブ』目覚まし時計のためにけっこうな枚数の応募券を必要とした。
メーカーが発売している乙女ゲームひとつに付き一枚の応募券がついてくる。
ファンの中では『ときラブ』愛が試されると話題になった。
だけど、保存用、観賞用、プレイ用をがっつり購入する私にとっては応募券を集めるのは容易いこと!
ハガキには感想を添え、シールでデコって、色つきペンで華やかに飾りつけをして、一枚一枚、丁寧に書いたおかげか、目覚まし時計をゲットできた(感無量)。

「そろそろ起きて欲しいな。俺、身動きとれないし」

新しいセリフかな?
あれ、待って?おはよう以外にセリフはないわよ。
―――ないよっ!!
カッと目を開けた。

「あ、起きた」

目覚めた私は腕まくらされて、胸に抱き抱えられていた。
スチルのタイトルは【彼の腕まくら】といったところでしょうか。
いやいやいやいや!?
彼氏いない歴年齢の私には刺激が強すぎ、思考停止―――の後の大混乱。
な、な、な、なにこれえぇぇっ!!
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