乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「俺?そんなの決まってる!俺はもう楠野天清だから、『楠野屋』を月子と一緒にやっていく!」

そうだよねっ?と私を見た。
私に向けられた天清さんの目はいつもと同じ優しい目だった。
私と『楠野屋』を―――すぐには信じられず、その目を見つめていると遠堂さんが助け船を出した。

「天清さんは新崎を継ぐことよりも月子さんといたいそうですよ」

私と?
こんななにもできない私となんて、一緒にいてどうするの?
思わず、目から涙がこぼれた。
悲しいからじゃなくて、嬉しくて。

「今まで私がいいなんて言ってくれた人はいなかったのに天清さんはこんな時にまで私がいいって言ってくれるんですね」

「月子が望むなら、何度だって言うよ」

遠堂さんにバトンタッチするように手をパチンと叩き、すれ違うと私の方へゆっくりと歩いてきた。

「いいんですか?『楠野屋』は新崎に比べたら、小さいし、天清さんはもっと大きいことできるんじゃ―――」

「自由に勝るものは何もないよ」

私のそばにくると手を差し出した。
『ときラブ』よりもすごいエンディングですよ。これ。
そう思いながら、差し出された手を握った。
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