乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第19話 新崎家
私は今日、おでかけイベントが発動している。
これは今後のルート分岐にも関わる重要なイベント!
結婚し、妻となった私が絶対に避けて通れぬ(ルート)
【親戚付き合い】
気合いを入れた―――はずだった。

「……大きな家ですね」

城壁のように張り巡らされた門壁と高い門扉が私を見下すようにズズーンとそびえたち、気合を入れたはずのハートをパーンッと打ち砕いた。
それだけじゃない。
門の中に車で乗り入れ、いくつもある車庫に遠堂(えんどう)さんが車を寄せた。
ドドン、ドン、ドンッ。
頭の中で和太鼓が鳴っている。
敷地内の建物を一つ一つ目にするたび、太鼓がドンッと鳴り響く。
どこぞの豪族ですか?と聞きたくなってしまう。
あまりの凄さに。
新崎家(あらさきけ)は江戸時代から続く商家の家柄で楠野(くすの)のような一代で財を成した家とは違う。
それを改めて今、思い知らされた。

「たくさん蔵がありますね……」

「ん?物置みたいなもんだよ」

物置って。
違う、絶対に違う!
敷地内にはずらりと立派な蔵が建ち並び、屋敷は何棟もある日本家屋。
< 92 / 214 >

この作品をシェア

pagetop