乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「かねてから考えていた相手に娘を嫁がせようと思う。出来の悪い息子が損失を出したことは知っているだろう?」

さっきからずっと違和感があった。
『娘』『息子』と自分の子供を呼び、名前を呼ばないのだ。
まるで、物みたいな扱いで、それに驚いていると周りの人は少しも驚いていない。

「多少、歳が離れているが、新崎の利益になる相手だ。それに娘が貧乏な暮らしをする心配もない」

「父さん!約束が違う!」

天清さんが妹を庇うように前に出たのを妹さんがその腕をつかんで止めた。

「いいの。お兄様。私のためにもう二度と犠牲にならないで。お兄様は自由になさって」

「役にたたない娘だが、口だけは一人前のようだ。天清を自由に?そんなもの必要ない。自由にさせてなんの得があった?フラフラとその辺を歩き回り、経営の勉強も仕事も怠けて逃げていた息子に罰として結婚させただけだ。まあ、こちらの思惑どおり、結婚したらフラフラせずに落ち着いてくれたのはよかったが」

思惑?罰?
私との結婚は天清さんが気に入ってくれたからじゃなくて、ただのペナルティだったの?
好きだって言ってくれたのは嘘?
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