Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~

ドアの前の彼は高すぎない百七十センチほどの背丈で、頭は遊ばせる程度の金髪、上下ゆるいスポーツウェアを履いている。

それはどれも綺麗に整っており、彼の吸い込まれそうなつり目は、ジッと比菜子を見つめている。
金髪にジャージ姿だなんて、普通、第一印象は〝ヤンキー〟だろう。しかし比菜子の彼への感想は、

(……猫?)

だった。それも毛並みのよい、ペルシャ猫。

比菜子も、緩いTシャツに脚を出したショーパン姿の、いつもの部屋着である。長い黒髪は後頭部でお団子に結んでいる。
しかし、同じようなゆるい格好なのにキラキラ輝く彼を前にして、彼女はまるで陰になった気分だった。

一目だけでは、彼の年齢は不祥である。美少年にも、美青年にも見える。

いったい何者なのか。
それは後々、わかることである。

これが、激安アパートで暮らす限界OLと、正体不明の年下猫系男子のファーストコンタクトである。

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