Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
「これ入力すると、比菜子の作る料理ってめちゃくちゃ栄養あるってわかるんだよな……」
弾き出された栄養素のデータは、綺麗な五角形を示している。
「ちゃんと計算して作ってるからね」
「炭水化物と、たんぱく質と、あとビタミンにカルシウムも入ってる」
「このアプリ作ってる会社の社員ですから。それくらいは朝飯前よ」
ツカサは手を止めて、うしろから覗いている比菜子を振り返りじっと見つめる。
「ん? どうしたの」
「……比菜子ってすげぇよな」
それだけ言って、ツカサはまた手もとに向き直った。
「ふふ、ありがとー!」
ガシガシと頭を撫で回す比菜子に、ツカサは赤い顔で「やめろよ」と抵抗する。
(こんなことを言ってくれるのはツカサくんだけなんだよね。会社じゃ目立たない総務の事務員。そんでもってオンボロアパートに住む貧乏OL。私なんて、なにもすごくないんだから)
比菜子はちょっぴり切なく、アハハと笑った。