Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~


* * *

金曜日。
スマホを耳にあて、比菜子は仕事帰りのオフィスカジュアルのままシンクに寄りかかっている。

「だーかーらー、そんなのお母さんが勝手に妄想してただけでしょ? 上京したらイイ男連れてくるなんて私はひと言も言ってないのに」

『だって恋人のひとりも見せに来ないんだもの。ねえ、こっちで誰か探したらどう?』

「東京で仕事してんのに無理に決まってるでしょ。だいたい、私なんて誰ももらってくれないよ」

(貧乏だし、恋愛下手だし)

『そんなことないわよ。昔は美少女だって町の有名人だったのよ?』

「んもう! それは幼稚園のときの話でしょ!」

団地から少しだけレベルアップした中古の一軒家で暮らす両親、とりわけ思ったことを口に出すタイプの母親の呑気な顔が思い浮かび、比菜子は通話を切った。
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