あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
また、頭のいいヴィンセント・レゴシならば子どもたちの救出にいい案を出してくれるはずだ。しかし、エイモンが申し訳なさそうに口を開く。

「本当は僕が潜入したいところなんだけど、男だと出荷が早いみたいなんだ。そうなると潜入した人の命が持たない」

「女は子を産める。うまい肉を増やせるだけ増やしてから出荷になるから、まだ時間があるんだ」

聞いていて胸糞の悪い話である。全員が俯き、必死に考え込む中、チターゼが手を挙げた。

「あたしでよければ潜入します」

全員がホッとした顔をする中、イヅナは「それはダメです!」と言い、チターゼの手を掴んでいた。

「チターゼさんは、私と違って強いです。戦力があります。だから、潜入すべきは私です!」

一番危険な任務になることはわかっている。だが、戦力になる人間に残ってもらった方がいいのではないかとイヅナは覚悟を決めたのだ。

「あんた、弱いんだから尚更ここに残れよ。喰われそうになった時、抵抗できんのか?」
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