籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
…―…


 翌朝、遮光カーテンから覗く陽光によって目を覚ました。
普段ならばギリギリまで眠っていたいタイプなのに今日は違った。
目を開けると同時に飛び起きていた。


「へ?!」

 最初に視界に飛び込んできたのは自分のものではないベッドとそれからソファやテーブル、絵画。
一瞬どこにいるのか分からなかったが、隣ではすみと私の名前を呼ぶ彼の声ですべてを思い出す。

「…」
「おはよう」


 おはようございますと挨拶をするが声が枯れていた。

 そして上半身裸の和穂さんが肘をつき私を見ていた。昨日のことはすぐに思い出した。しかし、昨日は確か途中から電気を消して抱かれたから彼の裸をちゃんと見たわけではない。
なのにこんなにも陽の光で満たされた部屋で至近距離の彼の裸を見られるわけがない。

「声が枯れているけど、大丈夫?」
「ええ、まぁ」
「仕方がないよな。昨日はすごい声出してたし」
「…っ」
「とても可愛かったよ」

 耳元でささやくようにして言われ思わず両耳を手で覆っていた。
彼のせいで刺激が強すぎる朝を迎えた。

「で、ご感想は?」

 
 子供のように無邪気に笑う彼はそう言って私に感想を求めてくる。
笑顔とは正反対に性格はドSなのだと確信した。


「別に、男女の間で体の関係が発生するのは自然ですし、それに…」
「へぇ。あんなに全身真っ赤にして途中何度も泣きながら気持ちいいって言ってたくせに余裕のフリかな?」
「そ、それは…」

視線をウロウロさせ、布団を握る力を強めた。


「はすみは顔に出るから面白い。その辺のお嬢様とは違うから飽きるどころかどんどん君が欲しくなるよ」
「…」

それ以上はなにも言わなかった。
言えなかった、というべきだろうか。何かを発するたびに動揺して心を読まれてしまうような気がしたからだ。



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