珈琲と花の香りの君
ゆっくり歩くうちに、遠くで雷が鳴る音がした。
一瞬、空が明るくなって稲妻が走る。
穏やかな霧雨が急に粒の大きな雨となって、大きな音をたてながら落下してきた。
急変した天気に、為すすべもなく、珠利ちゃんをかばうように歩き続けた。
珠利ちゃんの部屋まで、ちょうど半分まで来た距離だ。
どこかでこの雨をやり過ごすよりも、このまま歩き続けた方がいい。
「珠利ちゃん。もうちょっとだから、このまま歩こう。大丈夫?」
隣を伺えば、こくんと頷いてくれた。