秘密と家族
頭を冷やそうと、風呂に入っていた琉梨。

下着に琉雨のトレーナーだけ着て出てくる。
「フフ…琉雨に抱っこされてるみたい……
これなら、寝れるな…!」

そのままベッドルームへ向かい、ベッドに横になった。琉雨の枕を抱き締め目を瞑ると、意外と眠りにつけた琉梨。
スースーと寝息をたてて、眠ったのだった。


それから数時間後、琉雨が帰ってくる。
「琉梨?」

リビングダイニングに明かりがついていて、もしかしたら起きて待っているのでは?と、複雑な気分で向かう琉雨。

起きて待っていてくれると、やはり嬉しい。
が……琉梨はあまり身体が強くないので、ちゃんと休んでいてほしいとの思いもある。

ただでさえ、琉雨の仕事は夜遅い。
生活習慣が、一般とは違う。
だからこそいつもの時間には、休んでいてほしいのだ。

ドアを開け中に入ると、琉梨はいない。
「やっぱ、寝てる…よね……」

そのままベッドルームへ向かおうとして、ソファの背もたれにかかっていた琉梨のコートやソファに無造作に置かれたバッグに目が止まる。

「珍しいな…」
几帳面な琉梨。
いつもの琉梨は、きちんとクローゼットにしまっている。こんな風に置きっぱなしはしない。

ベッドルームの隣にある、ウォークインクローゼットについでにしまおうとして、コートを掴んだ。

フワッと香ってきた臭いに、琉雨の心の中に言葉にならない嫉妬心が顔をだした。

バン…!!!とドアの音をさせ、ベッドルームに入ってきた琉雨。
ベッドに横になっている琉梨の姿を見て、今度は劣情を煽られた。

嫉妬心と劣情…身体が熱くなるのがわかる。

琉雨はベッドに上がり、琉梨を組み敷いた。

「琉梨」
「………」
「琉梨」

可愛くて…愛しくてしかたがない━━━━

【琉雨って、クールだよね!いつも落ち着いてるし。それに優しくて、穏やかで……大ー好き!】

よく琉梨が言う言葉だ。

「違うよ、琉梨。
俺はクールなんかじゃないよ。いつも心の中は荒れてるんだ。
……………だって琉梨のこと、本当は誰にも見せたくないと思ってるんだから。
ここに閉じ込めたい。片時も離れたくない。依存させて俺しか見れないようにしたい。
……………そう思ってるんだよ?
ねぇ、琉梨。
今日どこに行ってた?
誰と会って、どんな話をした?」

琉雨は眠っている琉梨に狂おしい思いを吐き出し、琉梨を抱き締めた。

いつの間にか、眠ってしまっていた。


< 7 / 29 >

この作品をシェア

pagetop