【完結】余計な愛はいらない。


「あの、美麗さんは……これからどうするんですか?」

 と問いかけると、美麗さんは静かに「とりあえずは……実家に戻ろうと思ってます。子供も実家に預けながら、パートとして働こうと思ってます」と言って、少し冷めた紅茶を口にした。

「……そうですか」

「玲音とは離婚しましたけど……。子供の父親はあの人しかいないので、時々は子供に会わせるということを条件にして、離婚したんです」

 そうだったんだ……。円満離婚って訳じゃないのかな……。

「……中原さん、あなたは幸せになってね」

 そう言ってくれた美麗さんは、少しだけ後悔したような表情をしていた。

「美麗さんも……体に気を付けて頑張ってください。くれぐれも、無理はしないでください」

「ありがとう、中原さん」

 美麗さんには、幸せになってほしいな……。

「美麗さんは、わたしのこと、責めないんですか……?」

「……責めたりなんかしないです。 もちろんあなたのことを責めたい気持ちはあったけど……。悪いのはあなたを利用した、玲音自身だから。あなたを責めても仕方ないでしょ」

 美麗さんは本当に、優しい人だった。
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