僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
次の日から開演に向けて準備して、それぞれのバンドやグループの物販も到着してきてその対応に追われてた。
「・・・・・・・・・・」
「どうした?そのバンドのファンか?」
「あ、いえ、特には」
そうだった。
このバンド、出るんだったな。
バンド名じゃピンとこなかったけど、ポスター見て思い出した。
”ケイが放してくれなくてよ”
嬉しそうに呟いていた言葉も一緒に思い返していた。
それから、なんとなく胸騒ぎが止まらなかった。
数日間かけて会場を作り上げ、予定通り開場スタートを迎える日。
カウントダウンがモニュメントそばで行われて、一斉に客が来場してきた。
楽しそうに騒ぐ人たちをよそに俺は緊張感に包まれて気を張る。
緊張の原因は仕事が潤滑に進むかの心配と、もう一つ
ケイが来るかも知れないと、なんとなく思ったからだ。
もし、会ったらどうしようって
声かける?
でも、話す事なんてないよな?
じゃあ、仕事中だから、知らないふりをするか?
それも、なんとなく不自然だな。
・・・・あれからだいぶ時間が経ってるんだ。
お互いにもう社会人なんだし、相手の反応にあわせたらいい。
そうしよう、だから急に会っても大丈夫だ。
そう思っている時点で平常じゃないけど、それすらも気がつかない俺はこのイベントで大きな失態をやらかすことになる。