僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

顔つきは紫音と似ているけど、不意に見せる素直な表情は彼とは違う。



純真無垢で気持ちに真っ直ぐな詩安さん



透き通った綺麗な物に触れるようだった




「仕事は順調でしたか?」

「うん、なんとかね」

「そうでしたか…あとはプライベートに近い仕事って言ってましたっけ?」

「うん、北海道のね、恩師が二号店を考えているから、俺をそこにって話だったんだけどさ」


北海道かぁ―――
でも、イタリアよりは近いかな‥‥

でも偶然を装って訪ねに行くには遠すぎる。


どっちにしても、もうこれっきりかもしれないな



今回の仕事はイレギュラーだったみたいだったし。

普段日本に来て仕事をすることはないっていっていたもんなぁ。


「でもすぐ帰ってくる」

「え?断るんですか?」

「うん、やっぱり気が変わったし、他にやらなきゃいけないことあるからさ」


って事はイタリアに帰っちゃうんだな


また、俺はこの部屋で一人になるんだ



「それでね、少しだけ北海道で仕事しにいくから、アップルをここに置いてってもいいかな?」

「いいですよ。どうせ職安通いですし」

「あ、それ、ちょっと待ってもらってもいい?」


「・・・・?なにをですか?」

「職探し」

「ーーーーーは?」



「あ、うん―――やっぱりまだ秘密です」


< 149 / 231 >

この作品をシェア

pagetop