僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「つまり、エッチは男としか最終形態までいけないけど、途中までなら女の子と出来るって事?」

ストレートに聞いてくるけど、俺という人間を理解するためにしてくれてるんだと思えば、嫌な気持ちにならないし、俺たちの理解を深めるには大切な事だって認識しかない。


ここまで踏み込んだ話をハルと出来なかった俺は、やっぱりハルは憧れであって自分の恋愛事情をさらけ出す気にはなれなかった人だということ。

とても大事な幼馴染には変わらないけど、自分をさらけ出してまで恋愛しようとは思えなかったんだ。


「最初は触れて嬉しかったりもしました。何と言うか男冥利っていうのをあじわってるようで…。でも、その後は義務感と言うか———同情に似た感情でした。この子を抱きたいって思うのではなくて、好きでいてくれているのに抱いてあげれないのが、悪いなぁっていう」

「———なるほどね、了解。」

「ややこしくてごめん」

「何言ってんの、俺たちのこれからには大事なことだよ」


この人の前ではすべてをさらけ出せる。
隠し事なんてして不安にさせたくない。



「紫音のことすみませんでした。喧嘩にまで発展させてしまって…」

「島くんが謝ることじゃないよ」


残りのデザートを口に運んでいく。
片手は詩安と繋いだまま。


「あいつ、何考えてんだか。三人で結婚とか安易すぎるんだよ」

「でも、実現出来たらこの上ない理想の形だったよ」


「そんなの――まやかしじゃん。誰かの一番になれないなんてのは、この世で一番残酷なことだよ」

「——そうだよね」



三人で幸せになんてのは、本当にまやかしだった。

穂香はいつもベッドの上で悲しそうにしていた。

紫音だって茶化すようにしてたけど、俺の気持ちが向けられていないことを感じ取っていた。


「でもまあ、結果オーライって事でいいんじゃない?あの二人なんだか雰囲気良かったし」

「そう、だよね」


二年間二人のそばにいたけど、俺そっちのけで会話が弾んで楽しそうにしてる時が多々あったから俺もそう思う。

「だからさ、俺らは自分たちのことをゆっくりと考えような」

「うん」
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