エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
実際、朔と手を繋ぐことは無理なくできた。それから、少しずつ繋ぐ時間を長くしていって、今では出かける時は繋ぐのが当たり前になっている。
ただ、別の意味で緊張する。
朔のことが好きだから。本当にデートしているかのように思えて、胸の高鳴りを隠すことが今はミッションみたいなものだ。
この気持ちはバレてはいけない。朔を煩わせるだけだから。
朔は里見さんが好きなのだ。契約上妻というだけで、私から本気で好意を向けられたら、彼としては過ごしにくいことこの上ない。音信不通になった過去が如実に物語っている。
この気持ちは絶対、秘密。じゃないと、一緒にいられなくなる。
仮の夫婦だとしても、今すごく幸せなのだ。朔は私の味方でこの上なく優しくしてくれる。
私もこの人のこと、本当に大切にしたい。
だから、最大限妻としての役目を果たしたい。朔に何かあれば助けられるように早く身体を治したい。
あたたかい気持ちがどんどん溢れて全体を満たし、体調もそれに呼応するように良くなっている。
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