客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
バーに入るなり、匠はカウンター席にぼんやりと座る二葉を見つけた。慌てて駆け寄り、彼女の様子を確認する。
「二葉……! 大丈夫だった⁈」
だが匠の心配をよそに、二葉はキョトンとした表情を彼に向ける。
「匠さん⁈ あぁ、うん、大丈夫だよ。あっ、お店が変わったことを連絡してなかった。ごめんなさい、心配かけちゃった?」
二葉の落ち着いている様子を見て、匠は安堵からその場に座り込んでしまった。
「……二葉が大丈夫ならいいんだ……。ラウンジにいなかったから、慌てて従業員に聞いて、ここまで上がってきた……」
二葉は椅子から降りると、匠の前にしゃがみ込み、彼にぎゅっと抱きつく。匠はやはり何かあったのではと不安になり、二葉を強く抱きしめ返す。
「真梨子さん、すごく素敵な人だったよ。悔しいけど、匠さんが好きになったのもわかるかも」
あまりに予想外の言葉に、匠は拍子抜けする。二葉は匠に満面の笑みを向ける。
「どんな話をしたの?」
「内緒。女子トークに首を突っ込もうだなんて野暮ですよ」
二葉は匠の手を取り立たせると、何か飲むかと問いかける。しかし匠が首を横に振ったため、二葉は荷物を持つと、彼の手を引いてエレベーターに向かった。
エレベーターに乗るなり、二葉はドアが閉まるのも待たずに匠の首に手を回し、彼の顔を引き寄せるようにキスをする。
匠の手が腰に回され体が密着すると、貪るようなキスを繰り返す。
私は彼が好き……その気持ちはここにあって、確かなものだと実感したかった。