客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
 そこまで言い終えると、譲はまた笑顔に戻る。

「ところで匠、そちらのお嬢さんは例の?」
「うん、まぁ」
「やっぱりそうか! 匠が六年前と同じ部屋を指名してきたって聞いたから、もしかしてとは思ってたんだ」

 譲はどこか嬉しそうに見えた。何故か愛おしそうに二葉を見つめる。

「お嬢さん」
「は、はい!」
「うちの家族は自由恋愛論だから安心していいからね」
「えっ……」

 そこまで言い終えると、譲は立ち上がった。

「じゃあ俺もそろそろ仕事に戻らないと。四月からは……わかってるな」

 匠が頷くのを確認すると、譲は手を振って去っていった。
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