客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
 寝る前に洗濯をしておいた二葉の下着とブラウスは、起きる頃にはしっかり乾いていた。宿泊予定ではなかっただけに、連続で同じ服というのは少し気になるが仕方ない。

 朝はルームサービスで済ませ、二人は朝から十七番札所の定林寺へ向かっていた。すると匠が苦笑いをしながら口を開く。

「前に友達から秩父に巡礼に行くぞって誘われたことがあってさ、みんなも目覚めたんだ〜って思って喜んで行ったんだ。そしたらなんとびっくり、アニメの方の巡礼だった」
「確かに次のお寺ってそれで有名ですよね。私も観音様にしか興味ないからわからないけど」

 楽しそうに笑う匠の横顔を見ながら、二葉は彼に対して少し気になる点が出てきた。

 普通の大学生に見えるけど、乗っている車はコンパクトカーと言っても外車だし、服だってシンプルだけどブランド物。何よりあのホテル、普通の大学生が泊まるような部屋ではなかった。
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