客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
 突然パイプオルガンの音楽が流れ出し、たくさんの拍手が響き渡る。

 驚いて匠から離れた二葉の目に飛び込んできたのは、入口から続々とチャペルに入ってくる企画部のみんなの笑顔だった。

「えっ……どういうこと?」

 状況が飲み込めない二葉の前に、木之下がニヤニヤしながら歩いてきた。

「副島、雲井さん、プロポーズの成功おめでとう!」
「……ん?」
「実はね、俺たちから副島に提案したんだ。プロポーズ企画を始める前に、まず社員が経験してみるのはどうかってね」
「提案というより、ほぼ脅しに近かったけど」
「お前が辞めたら戦力を一人失うんだからな。ちゃんと俺たちに餞別を残していってもらわないと。それにプロポーズ受けてもらえたんだから、万々歳だろう!」
「……みんなが登場するなんて聞いてなかったけど」

 呆然とする二葉の元に美玲が申し訳なさそうな表情を浮かべて駆け寄って来る。

「二葉、ごめんね! こんなにたくさんの人に見られながらのプロポーズなんて嫌だったよね。止めたんだけど、なんかみんな興奮しちゃって……」

 その言葉を聞いて二葉は吹き出した。

「大丈夫だよ。みんなに祝福してもらえたみたいで嬉しかった」

 美玲はホッとしたように胸を撫で下ろす。しかし同じようにホッとしている人物がいた。

「良かった……部長まで乗り気になっちゃって……断るに断れないし、でも二葉の承諾は得てないし……」
「あはは! そうだったの? でも承諾したらせっかくの準備が水の泡になっちゃうしね」
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