客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜

 そこで二葉はハッとする。

「あぁ、これが価値観が同じってことなのかな……」
「どういうこと?」
「最近友達との会話によく"価値観が同じ人"っていう言葉が出てくるんだよね。今までは漠然と金銭感覚とか、趣味が同じとか、そういうことだと思ってたの。でも最近は……真梨子さんのこともあって、価値観ってもっと奥が深いのかなって思ってきた」

 真梨子さんとご主人の会話、あれは私にとって衝撃的だった。

「真梨子さんは一人でいる時間を『虚しい』って言ったのに対して、ご主人は『自由』と言ったでしょ? 私はお酒を飲むのが好きだけど、姉は酔ってる時間が勿体ないって言うの。私と匠さんはお参りとか写経を書く時間を大切にするけど、それが時間の無駄だっていう人もいる」
「まぁ考え方は人それぞれだからね」
「そうなの。みんな違うから考え方だってそれぞれ。生きていれば良いことも嫌なこともある中で、自然と同じ方向を向ける、同じ目標に向かって協力出来るってことが大事なのかなって思い始めたんだ」
「二葉は『頑張る』んじゃなくて、『協力』なんだね」
「頑張るって言葉は無理してる時に出る気がする。だから、お互い辛い時には支え合って、補い合えたらいいと思うの」

 匠は二葉を愛おしそうに見つめると、彼女の体を抱きしめる。

「二葉といると本当に毎日が楽しいし、俺にパワーをくれるんだ。世界中探したって、二葉以上の人に出会える自信ないよ。でね、ここからは昨日言えなかった言葉」
「うん……」
「ずっと俺のそばにいて。二葉と一緒に同じ道を歩みたい。二葉のことだから、きっと途中でどこか見えなくなるかもだけど、ちゃんと俺の元に帰ってきて。二葉を守るのは俺だからね」
「うん……」

 二葉の目からは大粒の涙が溢れ出る。

「愛してるよ」

 匠さんに唇を塞がれ、私は幸福感に満たされる。私はずっとずっと、あなたを探していたのかもしれない。

 同じことを、同じような考えで、同じような見方の出来る人。

 誰かと同じ想いを共有できることがこんなにも嬉しいことだとあなたが教えてくれた。

 恋人、夫婦、考え方は人それぞれ。賛同したり出来なかったりいろいろあると思う。

 でも広い世界の中で、一生一緒にいたいと思えるあなたに出会えたことが奇跡なの。その奇跡を大切にしていきたい。

「私も愛してる……」

 (つまず)くこともあるかもしれないけど、お互いを補い合って、思い遣る心を忘れなければ、きっとあなたとなら乗り越えていけるって思えるの。
< 192 / 192 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:61

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

一番星にキスをする

総文字数/9,630

恋愛(純愛)10ページ

超短編!フェチから始まる溺愛コンテストエントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
クリスマスの翌日 二日酔いの聖が 目を覚ましたのは 同期の修の家だった──⁉︎ 丸山聖(25) × 牧川修(25) 友達のままでいたい聖と 思いを自覚した修 二人の恋の行方は──? *表紙を仲良しのオガタカイ様に描いていただきました♡
表紙を見る 表紙を閉じる
友人・祥子の恋人が事故にあったと 連絡が来た日のこと 病院に駆けつけた愛梨は 高校時代の友人・楓介と再会する 彼は祥子の恋人・光一の友人で 彼が留学をしてからは 一度も会うことはなかった 病院で別れた二人は 数日後、思いがけない場所再び出会う 佐津川愛梨(26) × 津山楓介(26) ただの友達の恋人の友達だった二人が ある日を境に動き出す──
表紙を見る 表紙を閉じる
1話だけ大賞に応募するための作品となります。 今は1話だけですが、今後続きを追加していく予定です。 *** 高校三年生の時に好きになった人がいた 赴任したばかりの先生は どこか冷たい感じのする人 彼は高校の卒業生で 文芸部に所属していたらしい だから文芸部員の私の前では 時々笑顔も見せてくれた でも先生には恋人がいる 想いを伝えられないまま 卒業式でこう言い残した 『大人になったら会いにいっていいですか?』 あれから五年── 私は先生に会いに行くことは出来ずにいた そんな時に再会した恩師によって 運命の歯車が再び回りはじめる── 永里 莉珠(23)求職中 × 都築 隼人(28)高校教師・兼業作家 あの時にしまいこんだ想いの蕾が 新しい想いと共にふくらみはじめる──

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop