客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
* * * *

「じゃあ今回は副島くんのチームの案でいこうか」
「ありがとうございます!」

 最近木之下の勝率が下がってきていたため、会議室から戻った後も、彼はいつにも増してピリピリしていた。

「やっぱりあいつはイギリスに戻った方がいい……戻す方法はないのかな……」
「つ、次は頑張りましょう!」

 隣で二葉は苦笑いをする。これはかなり重症だ。でも確かに匠さんのアイデアは斬新で人の心を惹きつける何かがある。

 木之下には言えないが、プレゼンを聞きながらいつも引き込まれてしまうのだった。

 そんな人が自分の彼氏だなんて、今でも不思議な感覚。付き合い始めてもうすぐ二ヶ月が経つが、不思議と今の匠への想いが募っている。

 秩父で会った時はお互いに学生で、しがらみもなく自由に求め合った。今は社会の中で、同僚たちの目を気にしたりしながら、節度のある大人の付き合い方をしていた。

 まだ体の関係がないからプラトニックだけど、その分心の繋がりは深まっているように感じる。

 休日には寺社仏閣を巡るデートをして、二人だけの時間を堪能する。そして別れ際は寂しくて、こっそり隠れてキスをする。繋いでいた手が離れる瞬間が一番切ない。

 付き合い始めのカップルってこういう感じなのかな……会うたびに匠が好きになる。二葉は今の関係が好きだった。
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