客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
曖昧論

美玲の場合

 宴会場の席は自由席だったので、二葉たちは一番後ろの方の席を四つ確保した。

 宴会が始まると、あっという間に酔っ払いたちの溜まり場となっていく。みんな楽しそうに騒ぎ、周りのことなど気にも留めていない。

 その中で美玲が落ち込んだ様子で口を開いた。

「あのさ、体から始まる恋愛ってありなのかな?」
「……それってどの程度の関わりがあってから? ほら、漫画とかでも目が覚めたら知らない男とベッドにいたーとかいう展開もあれば、合コンでお持ち帰りとか、流れでつい会社の人と〜とかさ、いろいろじゃない?」

 彩花が聞くと、美玲は難しい顔になる。

「元々知り合いだったんだけど、意外と趣味が合うんだよねぇ。だから話が盛り上がって酔ってたのもあって、それから何回か関係を持っちゃった」
「それってセフレじゃん」
「紛れもなくね」
「……だよね。いやね、私もそうなのかなぁってちょっと思ってたんだけど……でも相手の気持ちもわからないし、もしかしたらなんて期待もして、どうしていいのかわからなくてさ……」
「っていうか、美玲ちゃんはその人とどうなりたいの? 二葉ちゃんみたいに恋に発展する可能性もあるけど、この二人の場合はセフレっぽい時点でかなりイチャイチャしてたからね、伏線はあったわけよ。美玲ちゃんはどうなの?」
「……わからない……イチャイチャ……? なんだその単語は……理解不能……」
「ってことはイチャイチャしてないんだ」
「なるほど」
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