だから今度は、私がきみを救う番
ああ、そうか。



原くんは、私の連絡ノートに書かれた内容を知っている。

あさがお五組の山中先生は若くて話しやすいこともあり、彼女に家庭での相談をすることがよくあった。



昨日のノートに書いた内容は、

『お姉ちゃんが三日間帰ってきません』。

それから、『おばあちゃんの入る予定の施設になかなか空きが出ません』という、

中学生らしくない二つの文章。




先生は『何でも話してね』って言ってくれるけど、そういう表面的なことを書くだけでいっぱいいっぱいだった。

だって、先生は大人で、私は子ども。

先生に私の気持ちが分かるはずがない。

それでも吐き出す先がなくって、私はこうして連絡ノートに書いちゃうんだけど。



友達には、もっと言えない。

前を向くと、楽しそうに笑いながら帰る女子生徒の集団が目に入った。

きっとみんな、家に帰ったら、温かいご飯が待っているんだろう。

そんな連中に、私の気持ちなんて分かるはずがない。

きっと私は、世界で一番大変なんだって、そう思ってる。
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