だから今度は、私がきみを救う番



「どうする?」



原くんにそう問いかけられて、こくりと頷いた。



「よっしゃ、高屋と寄り道!」



私が頷いたのと同時に、原くんは私の手を握ったまま走りはじめる。



「まって」



土手道から川の方へと降りる階段を、原くんが駆け下りる。

私も引っ張られるがまま走った。

後ろから初夏の風がびゅうっと吹いてくる。

風に背中を押されて、揺れる彼の髪を見た。



きらきらと光を透かす、色の抜けた髪。

私の視線の先でそれがなびいて、輝きながら揺れる。



その瞬間、世界が虹色に輝いた気がした。

いつもの土手道。

濃い緑色した草、アスファルトの階段、

その先には太陽の光を反射した水面が波打っている。



「高屋、たのしいね」



そう言ってきみが笑うから、「うん」と大声で叫んでいた。



きみとなら、何かが変わるかもしれない。


きみとなら、前を向いて歩けるかもしれない。


どうしてだか、そう思ったんだよ。
< 21 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop