だから今度は、私がきみを救う番
「どうする?」
原くんにそう問いかけられて、こくりと頷いた。
「よっしゃ、高屋と寄り道!」
私が頷いたのと同時に、原くんは私の手を握ったまま走りはじめる。
「まって」
土手道から川の方へと降りる階段を、原くんが駆け下りる。
私も引っ張られるがまま走った。
後ろから初夏の風がびゅうっと吹いてくる。
風に背中を押されて、揺れる彼の髪を見た。
きらきらと光を透かす、色の抜けた髪。
私の視線の先でそれがなびいて、輝きながら揺れる。
その瞬間、世界が虹色に輝いた気がした。
いつもの土手道。
濃い緑色した草、アスファルトの階段、
その先には太陽の光を反射した水面が波打っている。
「高屋、たのしいね」
そう言ってきみが笑うから、「うん」と大声で叫んでいた。
きみとなら、何かが変わるかもしれない。
きみとなら、前を向いて歩けるかもしれない。
どうしてだか、そう思ったんだよ。