俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました

「私は、あなたに釣り合わないわ。孤児で、ただの看護師と、石油王のあなた。…… どう考えても、身分が違いすぎるわ 」

 アミールはハーっと息を吐いた。

「くだらない…… そんな事は、大した問題じゃない。 俺の選んだ女だ、誰にも文句は言わせない」

「あなたにとってそうだとしても、私には大問題だわ。 国が違えばルールも違う。 言葉も話せないし…… 、ましてや、セレブの生活なんて知らないし、あなたに迷惑かけるだけよ」


 二人での未来はない、そう思うだけで、心が引きちぎれそうになる。 だけど、私は二人を守り愛して育てると決めた。 二人を私の様な「愛」を知らない子にはさせない。 それだけは約束する。


「…… 悪いが、勝手な事をした罰だ。 お前に否はない。 」

 私はハッとして、思わず、顔を上げアミールを見つめた。

「一花…… お前は俺を好きだと言った。 それで充分じゃないか。 これ以上なにが不安なんだ? 一人で抱えずにこれからは沢山話をしよう。 な、これ以上、俺をバカな男にさせるなよ。 諦めて…… 俺に囲われろ! 」

 アミールの言葉に、胸に淡く喜びが浮かぶ。

「…… いい、の?…… わた、し、…… 私も幸せに、愛する家族と幸せになりたい…… っ! 」

 口にしたら、堰を切ったように、心の奥底から想いが溢れ出してくる。

「好き、好き、大好き! 」
 


 アミールは私の顎を親指と人差し指で掴むと、クイッっと、上げ、真っ直ぐにサファイアの青の瞳で見つめて来る。


「愛している……。俺の女神……、 お前と子供達を俺に守らせてくれ 」

 影が被さり、アミールの熱の篭った甘い瞳で射抜かれて、心臓が早鐘の様にドキドキと波打つ。

 ゆっくりと唇が重なり合う。
チュッとアミールが優しく下唇を噛む。

 ハァーッと、息継ぎの間に、甘い吐息が漏れると、肉厚な舌が入り込んで来た。

 何度も何度も、舌を絡め、吸い上げ、ペロッと唇をひと舐めして、アミールは名残り惜しそうに唇を離した。


「お前は俺のものだ! 」

 蕩けるようなサファイアの青の瞳に射抜かれて、私の思考はドロドロに溶けていった。



 それからのアミールの行動は早かった。
早々に、病院に私の退職届を提出し、いつの間にか、部屋の荷物を業者に手配してあり、運び出されてしまった。

「言葉が心配って言ってたからな、一花の為に、講師を頼んだぞ、あと、アルとルルのシッターと、幼児教育の講師、それと、脳の発達にはピアノが良いそうだ。 あ、プールも良いな…… 」

 アミールは財力をフルに使い、早くも親バカ発揮している。

 もちろん、妻にもだ。

 「おバカに拍車がかかったんじゃない? 」

 アハハハッと、カミールはおかしそうに笑う。

「一花と子供達は俺のものだ! 俺のものを甘やかして何が悪い! 一生かけてデロデロに甘やかすから、覚悟しておけよ!! 」

「好き、好き、大好き!」

 私は、ずっと夢見ていた「愛」を手に入れた……… 。



 



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