俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「ここが、お前達の城か 」
アルとルルを寝かしつけ、一花の家の居間に二人で座り、やっと一息ついた。
「狭いでしょ? 」
フフフッと笑う。
「確かに、少し狭いが一花らしく、ブルーで統一されてて、清潔感があって落ち着くな」
アミールは畳が珍しいのか、指で何度もなぞって感触を確かめている。
「アミール……、あなたに話さなきゃいけない事があるの」
落ち着く為に、テーブルに置かれたコーヒーを一口飲む。
「アルとルルの事。 あの二人は、あなたと別れを決めたあの日に出来た、あなたとの子供なの。 帰国してから暫くして妊娠がわかって…… 、迷ったけれど、産む事を決めたの 」
アミールはじっと黙って私の話を聞いていた。
「私、施設で育ったの。 伊織とは施設仲間で、私にとっては兄的存在。 身内って呼べるのは彼だけだった。 ずっと、ずっと夢だったの…… 、 好きな人と家族を作るのが。だから、双子が出来た時、迷ったけれど、どうしても産もうって……。 大好きな、アミールとの子供だったから 」
私の告白に、アミールは目を見開いて、息を呑んだ。
「…… 大好き…… 」
ボソっと、私の言葉を反芻する。
「…… お願いが、あるの……。 アミールには決して迷惑をかけない、何も望まないから…… 、どうか、アルとルルを認知して欲しいの! 」
緊張で喉が張り付いて、手が震えて来た。
「…… 何バカな事言ってんだ?! 」
アミールは怒りと苛立ちを含んだ声を、上げた。
「ごめんなさいっ! 相談もせずに、私の身勝手で勝手に子供を産んで、本当にに申し訳ないと思ってる……。 石油王として有名なあなたに変な噂が立たない様に、決して口外したりしないと約束する。 ただ、子供達の将来の為に、戸籍に父親として、名前を載せる事だけ許して欲しいの! 」
お願いします! と、頭を下げる。
「…… ふざけるな! 俺の意志は全く無視か! 」
眉間に皺を寄せて、声を上げてるアミールに、私は尚も、頭を下げ続けた。
(…… そうよね、そんなムシのいい話、納得出来るわけないよね…… でも、子供達の為にはなんとしても、認めてもらわなきゃ…… )
「三年、三年だ! 空港が閉鎖されてから今日まで三年…… 。 俺がどれだけ一花に会いたかったかわかるか?! 」
ドンッとテーブルを叩く。
「やっと、お前に会えたのに、好きだと言って貰えたのに、何も望まない!とはどう言う意味だ! 」
「え?」
私は思わず顔を上げ、アミールを見つめた。
「認知だけだと?! 冗談じゃない!! 今すぐ、今すぐにだ、誰が何と言おうと、結婚するに決まってるだろ?! 」
「ええ?! 」
私は驚いて、目をパチパチさせる。
「…… いや、結婚は無理! 」
私はキッパリと否定する。
「は?! 」
今度は私の言葉にアミールカミール固まる。
「…… どう言う事だ? 」
仄暗い闇を纏って、アミールは私にグイッと迫って来る。