京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

「あら、しおちゃんがお見合いするんじゃなのよ。そうじゃなくて……」
 違う違うと首を振る母の話は何だかややこしくて。
 疲れた頭にすんなりと入って来なかったのだ。

 史織は大学を卒業し、無事に就職した。
 苦手だった対人関係も人並みに改善し、内気な性格や人見知りも大分なくなった。今は仕事に張り切る、ごく普通のOLだ。
 そうして二十四歳という年齢でチラホラ聞こえる結婚話。とは言え史織は今の生活に満足しているし、これと言った相手もいない。
 まあ話とは言っても、たまにこんな風に探りをいれられるくらいだ。とはいえ本人にその気がない以上、充分煩わしいのだけれど……
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