今日も一緒に帰ろう
今日は仕事を早めに片付けて、自分の住むアパートに帰った。

先輩のことは、「風邪を引いて声が出ない」ということにして会社に伝えた。

先輩が休んでいるところは俺が見る限りないし、有給も使っていないと思う。



帰りがけにコンビニで夕食を買った。

俺の住むアパートは、先輩の住むアパートの100メートルほど先にある。

5階建ての3階で、新築だから割と綺麗。


先輩と住むところが近いことを利用して、いつも一緒に帰ろうと誘うのは、先輩を暗い中一人で帰るのが心配だからだ。



昨日の夜、そのまま公園で寝てしまった先輩を、荷物を持って背中に乗せて帰った。


怒りとか、好きな気持ちとか、いろいろ混ざった感情は不思議で、感じたことのないものだった。



ベッドにそっと下ろして布団をかけたとき、安心しきった顔で笑顔で寝る先輩がたまらなく可愛かった。

同時に自分は後輩としてしか見られてないんだなって事実を突きつけられて、胸が詰まるほど苦しくて涙が出た。
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