黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
だから今度はちゃんと終わるための準備をして始めなければならない。

「それは俺じゃないよな」

「それは分かってる。でも……」

「でも?」

私は何を言いたいのだろう。傷つくのが怖い? それを言って八重樫君は納得する?

「私は蓮よりもずっと年上だから」

ようやく出た言葉はそれだった。

「じゃあ俺はどうしたらいい? 歳は変えられないし、俺がどれだけ双葉が好きか言ってもダメなの?」

私を好きな理由……そんなものがあるのだろうか。

でもそれを聞いて何か変わるのだろうか?

「ごめん、私もどうしたらいいか分からない」

「じゃぁさ、こうしよ。毎日俺と同じベッドで寝ること。双葉は不安になったら正直に言う。双葉が大丈夫って思うまで俺は双葉に手は出さない。キスは別ね。そして、一番大切なこと。今日から俺と双葉は恋人同士」

ん? 色々とツッコミどころ満載だが、これってつまりは……

「俺と付き合ってください」

八重樫君は嘘偽りない眼差しで私を見つめて言った。

「だからね、私はまだ準備が」

「つべこべ言わず俺を信じろ。双葉が襲いたくなるような男に俺はなる」

いや、何を言っているんだ。しかも急に漢感醸し出してどうしたんだ?

「これは何かのドッキリ? 蓮はまた私をからかっているの?」

「あぁもう、態度で示して。俺を受け入れるかそうじゃないか」

そういうと八重樫君は私にお仕置きのキスをしてきた。

「受け入れなかったらどうなるの」

「それくらい想像して」

優しいキスは魅惑的な果実だ。

これを受け入れたら私はまた傷つく。でも受け入れなかったら一生もう手に入らない。

本能と理性のはざまで私の体は溶けていく。
私の腕は自然と八重樫君の背中に周り、そのまま長い長いキスを交わした。
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