黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
だが、こんな年下の黒子な私に対して部長が下心を持っている訳がないので今日は言わずにおいた。

「星羅ちゃん喜ぶといいですね」

「あぁ、じゃあ日程についてはまた。楽しみにしてるよ」

部長はそう言うと1人で会議室を出て行った。

私は怪しまれないよう時間を置いて後から出た。

私がオフィスに戻ると直後に駒田君が出社してきたが、駒田君が見ていたら大騒ぎして聞いてくるだろうから見ていなかったのだろう。

とりあえず、誰にも見られていなかった事に安心した。

部長は早速八重樫君にも相談したようでその日の夜2人で話し合い、星羅ちゃんの為ならと部長のお誘いを受ける事にした。

その後、日程も行き先も決まっていったが、その間に私と部長の噂が良からぬ方向に進んでいるとはこの時3人とも知る由もなかった。

待ち合わせの駅のロータリーで八重樫君と待っていると部長の車がやってきた。
車内を見ると星羅ちゃんは後部座席に座っていた。

もちろん星羅ちゃんの隣は……。

「蓮、こっち!」

ですよね。

私は助手席に座り、八重樫君は私の後方に座った。

朝から元気な星羅ちゃんと八重樫君が話している間、私は部長と話す事になった。

私が部長と話しをしていると、何故か部長の顔を見た瞬間に後方から軽い衝撃が襲ってきた。気のせいかと思っていたが流石に3回も続くと分かってしまう。

八重樫君、意図的にしてますよね?

星羅ちゃんと話しながらもこちらの様子を伺えるとは何と器用な人なのだろう。

私は前だけを見て部長と会話をすることにした。
部長は度々こちらを見てくるが、私は気がつかないふりをして前だけ見つめていた。
部長は私なんかに一切興味が無いのに、八重樫君はどうしてそんなもヤキモチを焼いてくれるのだろうか。

車内ではいつの間にか星羅ちゃんの先導で歌を合唱することになっていた。そして一体感が生まれた頃にようやく遊園地に到着した。

「着いたー!」

星羅ちゃんは嬉しそうに叫び、園内からはキャーという声も響いてきた。

遊園地なんていつぶりだろうか。

星羅ちゃんは前回同様八重樫君と部長を連れてゲートへと向かった。またもや私は置き去りにされていた。

いの一番に星羅ちゃんが目指した乗り物はジェットコースターだった。
星羅ちゃんは乗れないのではないかと期待したがギリギリパスしてしまった。

言えない。今更乗れないなんて言えない!

事前に八重樫君に言っておけばよかったと心底後悔している。
私の口数は元々少ないので、部長は私の異変に気が付いていない。

八重樫君は気が付いてくれたのかチラチラと私を見てくれているが、星羅ちゃんの止まらない話を聞いているので中々私に質問することができないようだ。

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