御曹司社長はイケメンで甘すぎです。


お昼休み、美紀は銀行に行くと言って出かけたので、私は自分の席でお弁当を食べることにした。

すると、誰かが私の横に椅子を近づけた。

振り返ると、今朝話をした向井君だ。


「叶先輩、隣にいいですか?」

「…う…うん。」


今朝の美紀の発言が頭に蘇り、なんとなく気まずい。


「叶先輩、…神代社長と付き合うのですか?」

「…な…なんで…そんなこと聞くの?」

「…神代社長は女性関係が華やかだって噂もあるし、叶先輩を本当に愛してくれているのか、わからないですよね。」

「…向井君、あなたに関係ないでしょ。」


すると、向井君はいきなり怒ったような表情で私の手首をつかんだ。


「叶先輩、…俺は新入社員の頃から、あなたに憧れていた。ずっと見ていたんだ。それなのに、神代社長が横からいきなり出てきて…先輩を奪おうとする。」


向井君は力いっぱい私の手首を掴んでいる。
手首が軋むように痛い。


「…向井君、手首…離して…」

「…嫌です。神代社長ではなく、俺を恋人として選んでもらえませんか?」

「…そ…そんな…何を言っているの?」

「俺は…あなたを絶対に悲しませないから…」


その時、事務所に誰かが入って来た。


「叶先輩、…お土産にケーキ買ってきちゃいました。一緒に食べましょう!」


入って来たのは、美紀だ。

…助かった。


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