御曹司社長はイケメンで甘すぎです。


「結愛のこれからの幸せに、乾杯~!」


今日は瀬里奈と卓が、私とのお別れ会をしてくれている。
卓はいつものように、明るく乾杯の声を上げた。


「瀬里奈、卓、寂しいよ~でも、今まで本当にありがとう~」


前回と同じシーフードレストランに来ている。

だいぶ慣れ親しんだ味も、暫くはおあずけだ。
今日はお腹いっぱい食べるつもりだ。

モグモグと味を忘れないように噛みしめている私を見て、瀬里奈は自分の料理も私の目の前においてくれる。


「結愛、私のもあげる。でも味を忘れないうちに、またこのモルディブに戻って来てね。」


瀬里奈の大きな瞳は涙が溢れそうだ。


「瀬里奈、もちろんだよ。瀬里奈たちが、もう来るなって言っても、私は押しかけるからね…もちろん、これからは颯真さんと一緒にね!」


瀬里奈も卓も、満面の笑顔で頷いてくれる。


私は幸せだ。


こんなにも素敵な人たちに出会えたのだから。


ここに来たときは、悲しみに沈んでいたけれど、ここに来たから出会えた大切な友人。


一生の宝物だと思う。


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