御曹司社長はイケメンで甘すぎです。

お義父様の病気の話を聴いてから、颯真さんは毎日が本当に辛そうで、見ていられないほどだった。


颯真さんは、心の中でお父さんが大好きで、尊敬していて、自分の目標としていたようだ。


それなのに、あの病気の話は辛すぎる。



それから数日後、颯真さんのお兄さんから、急ぎだという電話がかかって来た。
急いで颯真さんを呼び出すと、なんとその電話は一筋の希望の光が差し込む電話だった。

医者であるお兄さんは、お父さんの病気について研究している医師を見つけ出したのだ。
その医師に話を聴くと、薬が上手く作用すれば、完治も夢ではないという。

颯真さんとお兄さんは、藁をもつかむ思いで、その医師を訪ねたのだった。

その医師はドイツに在住だった。
話を聴けば、お父さんの症状ならば、まだ間に合うかも知れないそうだ。


颯真さんとお兄さんは、急ぎお父様を連れて、ドイツへと向かった。


それから数日間、颯真さんからは連絡が無く、心配で眠れない日が続いた。


颯真さんがドイツに向かって、4日目の朝のことだった。


颯真さんからの連絡が入った。


「萌絵、…」


颯真さんの電話は言葉にならない。
嫌な予感が頭を過る。


しばらくすると、もう一度声が聞こえて来た。


「萌絵…父さんは…助かったぞ!」


その言葉に返す言葉が見つからなかった。
私もその場で電話をもって座り込んでいた。



それから一週間後、奇跡のように、お義父様は自分の足で歩いて帰宅したのだ。


まさに、奇跡が起こったのだ。


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